これは私の認識ですが、日本の高度成長期(1955年~1973年)を支えた会社員は「モーレツ社員」と呼ばれ、彼らは長時間労働や休日出勤も当たり前、会社のために身を粉にして働いた会社員がほとんどだったと思います。この労働環境は今風な見方をすれば、日本の会社のほとんどはブラック企業だった、になるでしょうか。
しかし当時そのような労働環境であったとしても、皆やりがいを感じていたのではないかと思います。社内は完全年功序列ですが、勤務先の会社は日々成長していた訳ですから、給料は毎年昇給したろうし、昇進のポジションもあったでしょうし、ある程度の自分の将来像が描けた部分は大きいのではないかと思います。
昨今、ブラック企業の存在が話題に上がり、過酷な労働の強要、サービス残業しかり、有給休暇は取得できない、精神論によるパワハラ、など。確かにこの様な会社に入社してしまったらお先真っ暗ですよね。仮にそういった会社が従業員に対し、今の仕事に従事すれば将来は保証される、みたいな約束ごとがあったとしてもほとんどの方は無理ではないでしょうか。社員の定着は難しいと思います。
今回は私の経験から、ブラック企業に入社しないための心構えについて記述します
応募前の準備
応募しようとする会社の退職者による口コミを見る
例えば下記の2つの口コミサイトを参考にするのはどうでしょうか。
(1) キャリコネ
(2) openwork
会社名を入力するとその会社の口コミが見れます。正直それら口コミの真実性はわかりません。あくまでも参考程度に確認することは悪いことだとは思いません。私も使わせていただき参考にさせていただきました。以前だったらこの様なサイトはない訳で、便利な世の中になったと思います。
競合他社(同業他社)の多い業界、会社に注意
競合他社が多いということは、その会社のライバルが多いということになります。例えばある規模のマーケットがあったとします。そのビジネス規模に対して2社で競合しあう場合と10社で競合しあう場合を想像してみて下さい。競合が多い方がいろいろと厄介だと思います。
競合の少ない会社を選ぶことは、ブラック企業目線で考えると悪くはありません。但し、なぜその会社の競合が少ないのかを考えてみた方が良いと思います。例えば非常にニッチなマーケットに特化してビジネスを行っている会社があったとします。そのマーケットは利益率が低く、かつビジネス規模が小さい、よって競合が参入してこない、というケースも想定できます。その結果、ブラック企業ではないが、給料が高くない、スキルを向上させる職場環境でない場合も想定できます。
主なビジネスが公共事業案件の会社
公共事業案件は学校、図書館、病院、公園や道路、下水道などの建設や整備がありますが、入札制度による受注が基本なので、競争もそれなりにあり、入札までの過程においてそれなりの苦労はあるかと思います。しかし、それがブラック企業かというと違う気がします。
こういった会社がブラック企業でないと考えられるのは、公共事業案件を受注できる会社に対して審査があり、ブラック企業ではその審査に通らないと考えられるためです。また、公共事業案件の市場規模は非常に大きく、受注さえすれば収益大が期待でき、従業員の給料は安定していると思います。
主なビジネスが公共事業に準ずる案件の会社
もうひとつ考えられるのは、国や地方公共団体の公共事業ではありませんが、それに準ずるようなもの、例えば電力設備(火力、水力)、電力供給の電線メーカー、電柱、道路標識、鉄道、信号機、防衛関係などのビジネスも前途の公共事業案件に匹敵するものがあると考えます。同じような理由から、こういったビジネスが主力な会社はブラック企業の確率は低いのではないかと思います。
事前情報の入手の難しさ
「離職率が高い会社は危ない」などと聞いたことがありますが、離職率が高いかどうかは、上場企業であれば会社四季報(東洋経済新報社)で確認はできます。但し、世の中は非上場の会社が圧倒的に多いですから、応募する会社の離職率を入手できるかは不明です。
「常に求人が出ている会社は要注意」と言いますが、その求人に応募しようか検討をする以前の求人の有無はわからないのが普通です。従業員が辞めてばかりが理由でない場合もあると思います。会社の成長が著しく従業員を追加募集することもあります。
応募中の心掛け
面接時
面接時に候補者が知りたい情報(業務内容、勤務形態など)を質問したが、面接官の回答が具体的でなかったり、あいまいな場合は疑って良いと思います。会社に自信のある場合、面接官は会社を候補者にアピールしてくるものです。
「御社で優秀と評価される社員はどの様な社員でしょうか?」と質問して、面接官から精神論(気合、根性、やる気、強さ、など)だけで説明してくるような場合も私なら疑います。
今回の社員募集の背景が現社員が辞める(辞めた)ことが理由であった場合、「その社員の方は御社に何年勤続されたのですか?」と質問して下さい。面接官が動揺するような場合、又は、つまらないことを聞いてくる奴、というような顔をした場合、私なら疑います。その社員の方が短期間で退職してしまった場合でも「優秀な従業員でしたので非常に残念ですが、ご家庭の事情でどうしても。。。」の様に丁寧に話してくれるのが一般的です。辞める、もしくは辞めた従業員を面接中に批判したり非難する面接官は怪しい方だと考えます。
面接官以外の社員の様子
仮に面接の機会をいただき、面接が終了し、入社したい気持ちが高まった場合、私なら面接官以外の社員の方を拝見したくなると思います。面接訪問時に拝見できれば良いのですが、場合によっては日を改めてその会社の従業員をこっそりと拝見するのはどうでしょうか。従業員の顔つき(活き活きとしているか)、態度(元気か、落ち込んでいないか)などを確認するのもひとつです。
最後に
- 入社前にブラック企業かどうかを判断することは難しいかもしれません
- 面接官の態度はひとつの重要な判断材料になりますが、誠意のある、紳士的な態度で接してこない場合は疑って良いと考えます
- 最終的にはご自身で判断することになりますが、迷った場合は辞退するのが無難かと思います
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