私自身も新卒で入社したはじめの会社は日本企業でしたが、転職した2社目以降は外資系企業に勤務してきました。もう35年以上外資系企業に勤務していることになります。
外資系企業は個人主義とか、有給休暇を多く取得できる、残業が少ない、などと言われますが、私の経験では必ずしもそうではありません。会社によって外資系といってもカルチャーはまちまちです。日本企業であっても外資系っぽい会社もあるのではないかと思います。外資系企業が良いのか日本企業が良いのか、どちらが良いのか単純に断言することは出来ません。
今回は、私の経験から外資系企業について考察してみたいと思います。
外資系企業には下記の3種類があるようです
海外企業の100%子会社の日本法人
外資系企業というとこのケースが多いと思います。アップル、ルイ・ビトン、アマゾンなど。
海外企業と日本企業の共同出資
出資の比率で会社カルチャーに対し影響の出かたが異なるかもしれません。例えば海外企業の出資比率が半分以上ですと、その海外企業の色が強くなる可能性がありますね。味の素ゼネラルフーヅ、富士ゼロックスなど。
日本企業が海外企業に買収される
もともと日本の会社だったのですが海外企業に買収をされる、または筆頭株主が海外企業になったケースです。シャープ、日産自動車など。
どの様なタイプの外資系企業があるのか?
超外資系
日本法人の社長は本国から派遣された外国人。従業員にも外国人がいて社内の公用語は英語。社内での会議はもちろん、メールは英語のみ。オフィスのレイアウトは本国と同じようにパーテーションで区切られ日本企業とは異なる雰囲気。当然社内のカルチャーは完全に外国。
日本に進出して間もない日本法人の場合や、日本法人の設立の目的が日本のマーケットだけでなく、日本に居住している人材(日本人でなくて可)が目的の外資系企業にこの傾向があります。
一般的な外資系
日本法人は日本のマーケット(日本の顧客)の為に設立されており、日本法人の設立から時間も経過し、ローカライズが進み日本法人の社長は日本人であることが多いです。もしくは日本語の出来る本国の方が日本法人の社長の場合もあります。これら企業のブランドは日本のマーケットでも認知されていて、日本の顧客満足を上げるべく日本のやり方で仕事が出来る社内の仕組みになっている。日本人にとっても比較的働きやすい会社カルチャーだと思います。
社内の会話やメールは日本語で問題はありませんが、仕事内容によって本国の担当者と連絡を取る必要がある社員は英語力が必須であることは言うまでもありません。
特に日本法人のマネージメントの方は英語力必須と思います。ビデオ会議などで業務実績などを本国に定期的に報告する場合があります。
外資系企業の日本国内工場
メーカーで日本国内にある製造現場の従業員は日本人になるので、ほとんどのケースでは日本人の管理は日本人がおこなうと思いますが、工場のマネージメントに外国人が就くこともあります。但し日本語が流暢な外国人となると思います。
このケース、社内のカルチャーはほとんど日本企業です。従業員が日本人で、日本に長く根づいている会社などは、工場所在地の地域色まで反映しているところもあります。
本国の担当者と直接コミュニケーションすることは頻繁ではないと思いますが、例えば資材を本国工場から調達している場合はコミュニケーションが必要になります。
日本企業が買収などで外資系企業になった場合
突然、親会社から派遣されてきた外国人が組織のトップに立つこともあります。日本語の出来る外国人なら良いのですが、日本語が出来ない場合、社内の従業員に困惑が生じますよね。
買収した親会社がいろいろと配慮してくれて、今までの会社カルチャーを継続できるのであれば従業員目線でありがたいのですが、ドラスティックで一方的に親会社のカルチャーや仕事上のプロセスを押しつけられるようですと、それが嫌で退職する従業員が出てきてしまうかもしれません。
日本企業時代に部門長だった方が英語が出来ないという理由で降格や移動させられたりする場合があるかもしれません。買収後しばらく落ち着くまで時間がかかるかしれません。
外資系企業に対するうわさ
給料が日本企業より高い
全てではありませんが、高めの会社は存在します。私の個人的な意見ですが、特に外資IT系、マイクロソフトやアップルなどはそう言えるかと思います。
また、日本に長く根づいている外資系企業は、資本こそ外資ですが社内は日本企業化しているところがあります。その様な場合は、給料水準は日本企業と変わらない、又は日本企業に合わせているという印象があります。
外資とはいえ、給料はポジションの高さやジョブグレード(職位)によって決まります。私の経験では昇給率そのものは日本企業とあまり変わらない印象です。
外資系企業は入社する時の給料額が大事だと思っています。採用の面接などで、希望年収の意思表示をしておくと良いと思います。その応募ポジションには必ず年収レンジがあるので、そのレンジの最大をいただけるかもしれません。ここが日本企業との違いで、ある程度の個人レベルでの交渉が出来てしまうことです。
スピード感がある
私の場合ですが、特に特別なスピード感を強く感じたことはありません。結局、これは会社規模にもよるかと思います。組織が大きくなるとそれだけ一定の時間はかかります。
例えば、ある固定資産計上する高価な設備を購入するとケースとして、社内ルール上、金額がある一定額以上は本社の承認が必要だとします。日本法人の社長承認でことが済むのであれば良いのですが、本国とは時差もあり、また、本国の上層部の方達は多忙なので、提出後一定期間の後、承認が下りることになります。
残業が少ない
もしかしたらそうかもしれません。日本企業だといまだに上司に「お先に失礼します」なんて挨拶をして帰っているのでしょうか? 別に悪い習慣ではありませんが外資系企業の社員達はいちいちその様な挨拶はしていないと思います。その日やるべきことが終わっていればとっとと帰る傾向だと思います。ただ、社内カルチャーが日本企業化している外資系企業ではどうか定かではありません。
私の外資系企業での経験ですが、ポジションが上に行けは行くほど多忙な感じです。日本企業と逆でしょうか(笑) 私の勤務した会社だけがそうだったとは思いません。現在私の勤務している会社のUSAの方でも欧州の方でも、上層部の方達は本当によく働きます。彼らとは当然時差があるのですが、現地時間の早朝や深夜にメールがとんでくることもあります。また、日本の時間に合わせて電話会議をしていただくこともあったりして、その場合は現地時間の早朝だったりします。また、ポジションがまだ低い若い従業員でも非常にハングリーな外国の方もいて、担当をしている仕事を通してスキルを向上させることに必死な方を多く見てきました。
人間関係が楽である
いくら外資系企業であっても、日本法人の従業員が日本人であれば社内の人間関係は日本企業と変わりがない、という場合もあると思います。ただ、外資系企業を好んで入社する日本人は、もしかすると日本企業のわずらわしい? 日本人どうしの人間関係を好んでいないかもしれません。これは完全に私の意見ですが、日本企業の日本人どうしの関係は少し湿っぽいかな(笑)
私の勤務した、又は勤務している外資系企業は各個人の仕事はJob Description(職務明細)に明記されていて、それが全社員に対して用意されているので、日本人であってもチームの意識よりは個人の職務の意識がはじめに存在しているかもしれません。特に年に1回行われる上司とのPerformance Review(人事考課)はこのJob Descriptionがベースになりますので確かに優先順位はあがりますよね。しかし、所属している部署はどうでもいいのかというと、そこはバランス感覚が大事かと考えます。やはり外資系企業とはいえチームですから。
私の場合、人間関係はぎくしゃくしたことはありません。個人の意見は尊重されるカルチャーなので、言いたいことは積極的に意見して問題はありません。逆に自分の意見を言えない方は外資系企業での勤務は辛いかもしれませんね。
本国から、又は他の海外拠点の方の日本法人への訪問があったりする場合、ランチやディナーにご一緒することも多々ありますし、毎回ではないにしても、場合によっては週末に観光に連れて行ったりすることだってあります。私自身も現地に出張した際にいろいろと世話していただいたこともありますし、お互い様の感じです。外資系企業の社員はプライベートを大切にすると言われたりしますが、それは昨今の日本企業も同じかと思います。
英語を使う頻度
これは会社や職種によって違うのではないでしょうか。私も以前、私の勤務する会社に面接に来られた候補者の中に「外資に勤務しているのに英語を使う機会がないので転職したい」という転職理由を聞いたことがあります。必ず入社前にこの部分は確認した方が良いです。日本語だけで完結する業務は外資日本法人に多く存在すると思います。
ハラスメント
これ、今の日本企業でもうるさいのではないでしょうか。ちなみに外資系企業は非常にうるさいです。社内でのハラスメント行為は解雇につながります。社内にヘルプデスクやヘルプラインのシステムが構築されており、全ての従業員がハラスメント被害を受けたりすると利用することが可能です。
最後に
- 昨今の外資系企業の日本法人をひと言で表現することは難しいと思います。外資系といってもそれぞれの企業文化があるでしょうし、業界や取り扱う商品やサービスによっても異なってくると思います。これは日本企業も同じかと思います。
- 「外資に向いている」というくくりや考え方より、外資系企業だろうが日本企業だろうが各企業、各業界との相性や興味が大切かと考えます。近年では日本の大手企業でもリストラはありますし、外資だからってすぐにリストラなんてこともありません。ただ、外資に就職するのであれば語学力があると有利なのは事実です。
コメント