私も外資系企業に35年以上勤務してきました。私は日本人として、外資系企業の日本法人に勤めてきたことになります。今回は、私の今までの経験から、日本人目線で「お勧めしない外資系企業」について記述してみたいと思います。
本国のマネージメントの来日
本社のマネージメントから何も発表がない
本社のお偉いさん(マネージメント)が日本法人に来社することがあります。私の考えですが、本国から日本法人への来社は良いのですが、何かを与えてくれる、例えば「会社方針」や「ビジネスの展望」、「今後の売り上げ」など、会社の何らかの報告を本社の人間として日本法人側にinputしてくれる、これは正しい外資系企業のカルチャーだと思います。
しかし、彼らから何もなく、日本法人の人間に課題だけを事前に与えて準備させ、その発表を聞きに来るだけ、というのはどうかと思います。日本法人としては、weeklyやmonthlyで本社へレポートしたり、テレビ会議などで報告している訳で、また何で同じことを? と疑問に思ってしまいます。 100歩譲って日本からの発表をOKしたとしても、彼らから何かしらのinputを日本法人の社員にするべきだと思います。これでは正直、本社のマネージメントの資質を疑ってしまいます。
顧客に訪問してもコミットが何ひとつない
日本のお客様に訪問したがる本社のマネージメントの方がいます。訪問していただけることは良いのですが、日本のお客様に何らかのコミットをしていただきたいところです。コミットとは例えば「御社に短納期で納品する」、「御社へ納品する品質を厳しくチェックする」、「来期は2%の値下げをする」など、日本法人の社員の心情としては、何かお客様へ本国からお土産をもって来ていただきたいわけです。
日本のお客様の中でも、外資系のこの様な状況をご理解いただき、訪問して挨拶するだけにお付き合いしていただいたりすることもあります。でもこういう時って、とても恥ずかしいです。お客様には感謝の気持ちでいっぱいです。
一般社員と話したがらない
本社から日本法人に来社しても、会議室にこもりっきりで、会話は日本法人のマネージメントとしかせず、一般社員と会話したがらない人がいます。これも困りますよね。なかなかこの様な機会がありませんから、せっかくだから職場訪問でもしながらフランクに声をかけていただきたいです。「元気か」ってひと言で良いと思うのですが。
ローカライズの推進を拒む
本国のスタイルを日本に押し付けるだけ
本国のやり方をそのまま日本でも適用させようとする外資系幹部。日本が特別とは言いませんが、それぞれの業界で商用のやり方や風習があり、あまり外資色を前面に出すと、日本のお客様から嫌がられてしまいます。日本法人のミッションは、外国製品を日本のカルチャーに沿った日本のビジネスラインに乗せてくれることを期待されていると思います。このことを理解なしに日本では商品が売れません。
日本専用製品の開発を拒む
現地製品の売込みに固執して、日本市場用に改良したりすることを許可しない状況のことを指しています。ルイ・ビトンやシャネルの様なファッション系のアイテムは現地のものをそのまま販売することで良いと思いますし、その方が喜ばれると思います。
しかし例えば、工業用製品の様なアイテムで、日本人の好むサイズに改良したり、品質を日本基準にする、などをして日本人好みにすることによってマーケットに参入できる可能性は大いにあると思います。本国のマーケットに受け入れられているので日本でも大丈夫だと考えている方は困ります。
日本語のwebやカタログ製作に積極的でない
英語が世界共通語だと強く思っている本社幹部がいて、日本のお客様が日本語のwebページやカタログを要求しているのですが、なかなか本社から許可が出ない場合などです。
これは私の推測なのですが、例えば「売り上げを増すために営業を1人雇おう」という発想は欧米の方は持っていない感じがします。「売り上げが増したので営業を1人雇う」はあるかもしれません。これと同じで、売れてもいないのに、webやカタログにお金をかけて日本語版を用意する発想がないのかもしれません。
私個人は、ファッション系の様なアイテムなら写真だけでも宣伝の効果があると思うのですが、工業用部品、電子機器などは、やはり日本語の技術的な情報が必要かと思います。
エスカレーションしても解決しない
「何か困ったことがあればいつでも連絡をくれ」と口癖のように、毎回会うたびに言う本社の幹部の方がいますが、何か本国の製品でトラブルがあって助けが欲しいので連絡をすると「~部の~氏に連絡して相談してくれ」みたいなアドバイスで終わってしまうケースです。こちら日本側では、本社の幹部の鶴の一声で問題を解決させていただきたいのですが、結局何もやってくれないので問題が速やかに解決してくれません。困った会社、組織です。
日本人を信用していない
必ず最低でも1人、本国の人間を日本法人に置き、日本の事情を別ルートで報告をさせているケース。日本法人のトップに本国の国籍を持つ日本語の堪能な人間を就かせることもあります。日本人だけで何かを隠そうとしていると、とにかく日本人を信用していない外資系企業。
こういう日本法人は、日本人の社員の士気がとにかく低く見えます。お互いの信用がない前提では良いチームワークができませんし、この様な会社に勤務しているだけで不快ですね。
最後に
- 上記内容に該当する外資系企業に勤務されている方は、さぞ多くの苦労をされているのかと推測します
- 可能であるのでしたら、早目に転職を検討することをお勧めします
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