あの人が部長に昇進だなんて信じられない。 この様な光景はどこの会社でもあるのではないでしょうか。昇進をさせるのは昇進をした人より組織の上層部なので、上層部目線と同僚や部下目線では考え方が違う可能性もあります。
でも昇進するのは理由があるから昇進するわけです。決して会社にとって期待していない人や無能な人を部門長などにはしないはずです。では、出世するのは優秀な人だけなのでしょうか。
私の経験した3つの実例
ある女性社員を管理職に昇進させたとき
私の勤務している会社での実例です。ある女性社員をある部門の責任者に昇進させました。すると、取引先の方から「Yさんは昇進しないのですか?」と言ってきました。Yさんは、今回昇進させた女性と同じ年齢で、社歴は昇進させた女性より10年ほど長い女性です。
Yさん、実は社内の人間関係、勤務態度などで問題を抱えていた方で、社内の評判は良くありませんでした。よって、Yさんを昇進することは絶対にないのですが、顧客対応という側面ではお客様受けするのも事実でした。この時、目線が変われば結果や解釈も変わるんだな、と強く思ったことを思い出します。社内の事情は外部の人にわからない、という言い方はできますが、それにしてもYさんが解雇されなかったのは顧客の評価が悪くなかったからなのです。
取引先での無謀な昇進?
私が以前勤めていた会社の取引先での話です。その取引先の組織が大きくなり、今まで部であった部署名が本部と格上げの組織名になったことから、部長から本部長になられた方が、自分の下に2人の部長を置くことになり、今まで課長だった2人を部長に格上げしました。
実は私から見てその2人、リーダーとしてどうなのか? と少し疑問を持っていました。全くダメな人ではなかったのですが、リーダーシップやコミュニケーション能力でどうなのだろうか? などと思っていました。しかし私に直接利害もありませんし、他社のことですから何も言わずそのままでした。
1年後、突然社長が交代しました。大株主が変わったとのことです。その直後、組織が再編成され、本部が本部でなくなり、2人の部長は肩書無しになりました。「上が変わると下も変わる」の典型でしょうか。「部長の能力なし」と判断された様です。しかし、私もこの組織再編に仕方がない、と感じていました。重要なことは肩書に対して実力が伴っているか否か、ということです。
あるお客様(大手商社)での人事
私の会社のお客様での話です。ある地方営業所の人事の話になります。その営業所は所長をトップに所長の下に2つの部があり、2人の部長がいました。部長の下には課長、という具合です。
その営業所長が昇進し、東京にある本社に取締役として戻ることになりました。そこで2人の部長のうち、A部長が所長に昇進しました。もうひとりの部長のB部長はそのままでした。実は、この2人の部長、同期入社でした。部長のポストまで同じタイミングで昇進してきた様ですが、最後に差がついてしまったようです。残酷なようですが、所長は2人必要ありません。
私のお客様でしたが、私の目から見ても、A部長の方が所長にふさわしいかな、と感じました。特にお二方とは深い仲ではありませんでしたが(何度か食事をさせていただきましたが)、何と言うか、オーラの違いでしょうか、B部長の方が子供っぽい感じです。A部長は雰囲気のある方でした。こうなると能力というよりは外見で決まってしまった? のではないかという感想です。外見の「らしさ」も大切な要素かと思います。
優秀であっても出世しない?
優秀の定義が難しいですが、一流大学を卒業していること、専門分野を持っていること、プレイヤーとして高い評価を得ている、などが上げられると思います。出世なので、会社員に限って言えば、社内の組織の上に昇進することとします。
上司に煙たがられてしまう
上司にもいろいろなタイプの人がいると思いますが、自分より能力が下回っている部下を好む人が上司の場合、部下である優秀な従業員の能力に嫉妬し、場合によってはつぶしにかかってくる可能性もあります。経営陣からすると最低な上司なのですが、昇進する第一歩は、直属の上司の高い評価になりますから、この場合、この様な上司の下にいたら一生浮かばれないということになります。
部下に切れてしまう
プレーヤーとして優秀であった人が上司になった場合、部下に自分と同レベルを求めてしまう人がいます。部下を育てるというよりは、部下に要求をすることが上司の使命の様に考えてしまっています。やはり部下に慕われない上司は、どんなに優秀であってもそれ以上のポジションに就くことは難しいと考えます。
人間力に欠けている
出世と言っても、会社内のことです。ですから、会社内での人間関係、非常に大切です。どんなに能力が高くても組織人として有能であることが求められます。組織人として有能とは、組織内で能力が認められているではなくて、組織内で人物を認識されている、という意味になります。
会社内で大切な人間力とは、
- 社内調整 : 各部門に反対されず協力をもらう
- 社内人脈 : 社内に敵少なし
- 上司との関係 : 良好
- 部下との関係 : 部下は指示通りに動く
- キーマンとの関係 : 社内、社外のキーマンとの関係強化
ただ単にポストがない
会社の売り上げや利益が増し、会社規模が大きくなっていけば、会社組織も大きくなり自然とポジションができますが、会社組織に変化がない場合はポジションがそもそも生まれません。よって、上がつかえている状態(飽和状態)では、どんなに優秀な人間でも出世はできません。
最後に
- 出世は運も大いに関係しています
- 優秀さと出世は必ずしも一致していない様です
- 会社員として仕事を楽しんでいる人は結果的に出世しています
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