私は外資系企業に35年以上勤務しています。出張で本国の本社や工場に行くといつも思うことがあります。欧米では役職が年齢で決まりませんから、日本で悩ましい『年上の部下とのつき合い』や『年下の上司とのつき合い』という概念がありません。うらやましい環境だな、と思っています。
日本では年上の方に~さんと、さん付けをしますが、ご存じのように欧米ではその習慣がありません。お互いファーストネームで呼び合うために、そういったまどろっこしい事が社内に存在しません。本社の社長(CEO)にむかって部下がファーストネームで呼ぶので、以前は大変驚きました。
基本は上司からのコミュニケーションです
事例です。社歴も長い年上の部下が、チーム内に勝手に指示を出し、この指示の内容が上司の考え方と違うというものです。このケースは、何が困るかというと、指示された社員たちが困惑をしてしまうことです。この年上の部下は、年下の上司を認めていないのかもしれない、と思えてしまいます。
まずは話し合いから
上記のような事例ですが、これは上司がその年上の部下の方と話し合いをする必要があります。そしてこの場合、年下の上司はトップダウン的なものの言い方を年上の部下にしてはいけません。「~のように考えていますのでご協力をお願いします」みたいな感じで切り出し、現場が困惑するので考えを統一したい旨の内容を本音で話されたら良いかと思います。
年上とはいえ部下だからと上から目線な態度は避けて下さい。上司という立場は会社から任命されたものです。そういう背景から組織内の社内的な立場はその上司の方が上に位置しますので、人間力が試されるような場面ですが何とか乗り越えて下さい。上司という立場は時として辛いです。
年上の部下には、上司としての『器の大きさ』を見せる場面かもしれません。
上司としての役割
課でも部でも上司の役割りはいくつかありますが、一番と言っていいほど大切なものは「部下のモチベーションを上げる」ことです。これによってチーム内の仕事の効率は確実にあがります。
特に年上の部下に対してですが、私もあまり良いとは思わない「マイクロマネジメント」は避けるべきと思います。基本的に部下たちの働き方に任せて、それにマネジメントを合わせる方がチーム内は調和されると思います。
会社でのすべての部下は大人です。あまりこまごました指示をするより、部下たちに考える機会を与えることは大切だと思います。
チームをまとめるのが上司
日本は年長者を敬う習慣があります。結局のところ、年上だろうと年下だろうと良好な人間関係を築き、部下の能力を最大限に生かす環境をつくれば上司として高い評価を得ることになります。
年上の部下は何よりも経験があります。部下の強みを引き出そうとするのであれば、その経験を上手く利用することも大切です。上司は人として偉いのではなく、会社組織内での役割が違うということだけになります。
私の場合はというと
私も年上の部下がいた経験があります。ちなみに私は職場では、年下の社員にも新卒の社員にも「さん付け」で呼ぶことにしています。
私は日本の学校しか卒業していませんし、部活動も体育会系でしたので、先輩後輩の秩序も厳しかった環境で育ちました。ですが、会社員になって年上の部下で苦労したことはありません。
ある時から、肩書に「長」が付くようになった時から、年が上とか下とか全く気にならなくなりました。理由は、自分の組織内での役割を理解した時から、部下たちの年齢が関係ないことを知ったためだと考えています。
私が常々意識してきたことは、
- チームの目標達成を第一に考える
- 自分が人として優れているから上司になったのではない
- 部下とは会社組織内での役割が違うだけ
- 本音でフランクに話す
になります。
特にチームの目標達成に対する意識は異常なくらい高いかもしれません(笑) この意識が常に優先されるために、年上という遠慮は全くありませんでした。そのようなことを考えている余裕がなかったというのが正しいかもしれません。人に対するリスペクトは、年齢や性別でなくて、対象は全員となります。
最後に
- 年上の方の強みは「経験が豊富」なこと。この強みを上手く使いたい
- 年上の部下の方に対し、やり方や働き方に対する非難は避けること
- 円滑な組織運営のために、部下たちとのコミュニケーションは大切にしてください
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